〈来年もその次の年も〉

コトリと湯気の立つそばを2つ、卓袱台の上に置いた。

「いっただきま〜す」

それに嬉しそうに箸をつける鬼太郎を見てネコ娘は幸せな気分になった。
目玉の親父は児泣きや砂かけらと共に年越し温泉旅行に行っている。

ネコ娘は1人残った鬼太郎の夕食を作り、
その後も残って年越しそばを作り、今一緒に食べている。
今は理由がないと出来ないソレを、いつか理由がなくとも
出来るようになればいいと思う。

(にゃっ!?…それって!)

自分でした想像に、カァーッと顔が火照るのがわかる。
それはつまり…鬼太郎と家族になるという事だからだ。

「…食べないのかい?」

「にゃっ!?」

「いや、だから、そば。
…のびちゃうよ?」

1人で百面相をするネコ娘の様子を見事にスルーして、
鬼太郎は手付かずのままのそばを指差してくる。

今まで考えていた事の気恥ずかしさもあり

「たっ、食べるよ!?」

と慌ててそばをすすれば思った以上に熱く

「アツイッ!」

と悲鳴をあげた。

「慌てて食べるからだよ。…ヤケドはしてないかい?」

「うん、大丈夫」

少しヒリヒリする舌はしばらく味も分からぬだろうが
心配かけたくなくてそう答えた。

「君は猫舌なんだから気をつけなきゃ」

「うん…ゴメン」

「謝ることじゃないけど…」

少し気まずい空気が流れてしまい、それを払拭したくて話題を変える。

「そういえば鬼太郎はなんで行かなかったの?…温泉」

「ああ。その方が父さんたちもゆっくり出来るだろうと思ったからね」

変えられた話題に鬼太郎もホッとした様に答えた。

「今頃、昔話に花を咲かせてるさ」

「そっか」

ニコリと笑えば元の暖かな空気が流れる。
妖怪寺からだろうか?
ゴーンゴーンと鐘の音が響いてくる。
その音に、今年も終わるのだと実感する。

(来年もこうして一緒にいられますように)

ひっそりと、心の中で願掛けをした。

END

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にゃ〜〜〜〜どうでしたかぁ(^∀^*人)
素敵な二人だけの大晦日の夜が目に浮かんで
くるようではありませんかぁ(*^^*)
ネコ娘と二人きりで大晦日、いいなぁ〜〜(´д`;;)

説火さん、素敵なSSをありがとうございます(≧▽≦)!!
感激したので、勝手に挿絵付けてしまいますね(笑)
↓の絵は説火さんに捧げますm(_ _)mツタナイデスガ・・





update:2010.12/31

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